陶芸家が知っている、失敗しないうつわ通販のコツ

Posted by MatsushitaSaori on

 

■語り手 松下沙織(まつした さおり)

1990年東京都生まれ。美術作家および陶芸家、フリーライター。2017年より新宿区の陶芸教室「白紙舎」にて講師を務める。2019年武蔵野美術大学博士課程卒業。現在ワシントン州シアトル在住。

 

 

 

今の時代、食器はIKEAや100均など、激安で揃えることができます。陶器やガラスは割れ物ですから、消耗品として考えると、出来るだけ安く手に入れたいのは納得のはなし。

 

ですが、作家や職人が手掛けたうつわは、生活に喜びを与えてくれます。釉薬や土の種類、ガラスの透明度など、好きな肌触りや色のうつくしいアイテムを両手に包んで過ごす毎日は変えがたい上質なライフスタイルになるはず。

 

とはいえ、作家もののうつわは、手に入れたことがないひとにとっては「扱い方がわからない…」「割ってしまったらどうしよう…」と、心配なことだらけなのではないでしょうか。

 

「どうせ割ってしまうのに、高い食器を買うのはもったいない」と考えるのも理解できますが、ありあわせの品ばかりに囲まれて過ごしていると、生活の質は落ちていくものです。

極端にいえば、割れても変えのきく100均の食器を使う毎日より、少し高価でもひとつずつ「良いうつわ」を揃えて大切に使い続ければ、そのうつわから、ささやかでも豊かに日々を過ごすエネルギーを受け取ることができるでしょう。

 

ただ、作家もののうつわを手に入れるには、郊外の陶器市にはるばる遠征したり、敷居の高そうなギャラリーをそろりそろりと見物しにいくなど、売り場にたどり着くまでハードルが高い、と感じるひともいるでしょう。そこで便利なのが、誰にでも開かれていてすぐアクセスできる、ILOILO LIFE STOREのようなうつわ通販のページです。

 

通販というのは、想像していた商品と違うものが届く可能性もある、いわば「博打」になり得るもの。そこで、今回はうつわ通販を失敗しないために、ILOILOなりにオンラインで作家もののうつわを買うためのアドバイスをお教えします。

 

サイズ表記や素材など、スペックをしっかりと確認する

うつわ通販で大切なのが、まずは直感に従ってそのうつわの魅力に「身を任せる」こと。「いいな」と少しでも思ったら、そのうつわの紹介文を読み、スペックを確認してみましょう。

 

たとえば、マグカップを買う場合には容量、そして重さを確認してみましょう。平均的なマグカップの容量は350ml前後で、重さは400gくらいです。細かいことが気にならなければ重さについては考えなくても構いませんが、実際持った時の感覚まで考慮したいときは、表記されている重さと同じくらいのものを手に持って感じてみると良さそうです。

 

ただし、作家ものの作品の場合、うつわ通販サイトによっては表記がない場合も。そんなときは、写真の感じと素材を照らし合わせてみましょう。

 

たとえば、陶磁器の素材は、磁器→半磁器→陶器の順に密度が軽くなり、持った時の感覚も軽やかになります。しかしこれに比例して脆くもなるので、磁器のうつわは薄く作れますが、陶器では耐久性のためにそれなりの厚みが必要になります。

 

ただし、うつわ通販サイトでは作家ものの取り扱いは磁器か半磁器の作品がほとんど。よって、自分の好みによって、マグカップのフチが厚いか薄いかをよく見てみるといいでしょう。どっしりした重みのあるのがよければ厚めのカップを、片手で楽に持てる軽いものがよければ薄いものがおすすめ。

 

また、和食器の場合は寸法に決まりがあり、うつわの口径が「~寸」と表記されます。1寸は約3センチですから、たとえば「五寸皿」と書いてあるお皿は、直径が15センチのお皿ということです。

 

見たい部分の写真がくまなく載っているかどうか

うつわの厚みを見たい時には、フチを真上から見られる写真が必要です。そのように、うつわ通販でお買い物をする時には、他のオンラインショッピングと同様、商品が360度死角なしに全て見えるような写真の掲載が欲しいところ。

 

イッタラやアラビアなどのブランドもののプロダクトの場合は、全て詳細に写っていなくても同じものが各地にあるので、ある程度どこにいても確認することはできます。しかし、作家ものとなると世界に一つしかないものですから、余すとこなく全ての部位が見えないと、買った後で「イメージと違うな」ということが起こることもあるでしょう。

 

そういったことがないよう、うつわ通販を利用するときには、商品全体をしっかり把握できるよう、そのサイトが写真をしっかり載せているかどうかを重視しましょう。

 

オンラインうつわ通販で作品を買うときは、

・正面

・斜め上から俯瞰

・真上

・底面

・質感のディテールや柄

 

これらの写真をしっかり把握できれば大丈夫。特に底の面は作家もののうつわの場合サインなどがあったり、うつわの作りによって違ってくるので、必見です。

 

もしも気になる部分の写真がないときには、サポートに連絡し尋ねてみてください。誠実なサイトであれば、追加で写真を載せてくれるでしょう。

 

食洗機・電子レンジの使用についての表記

日用食器をネットで買うときに気がかりなのは、食洗機や電子レンジで使用できるかどうか、という点ではないでしょうか。

 

実際のところ、作家ものでもほとんどのうつわは電子レンジにかけることができます。なぜかといえば、現代の作家の多くが家庭で扱いやすく丈夫な磁器や半磁器の作品を中心としているから。

 

しかし、材質が陶器など、いわゆる「土もの」のうつわの場合は、多孔質の素地の隙間に入りこんだ水分が熱で膨張して破損することもあるので、電子レンジの使用は避けた方がいいでしょう。

 

また、ほとんどの作家もののうつわは食洗機にかけることができますが、たとえば細かいパーツが付いた作品などはデリケートなので他の食器と重ねることも避け、個別に手洗いをすることをおすすめします。

 

ほかに注意するべきことといえば、土鍋などの陶器や半磁器など陶土を含んだうつわは、日当たりの良い場所でカラカラになるまで乾かすこと。水分を含んだまましまうと、湿気がカビを寄せ付けてしまいます。触ってもしっとりとした冷たさがなくなるまで、乾かしましょう。

 

逆に気にしなくてもいいこととは

「作家もののうつわ」というと、ときどき有田焼や信楽焼など、産地を気にする方がいます。伝統陶芸のうつわを手に入れたいときは重要ですが、このようなブランドは現代作家のうつわものを買うときには気にしなくても大丈夫です。

 

また、「割れちゃうかも…」という気持ちも、うつわを手に入れるときには封印しましょう。うつわを割るのを怖がっていると、紙皿くらいしか使えなくなってしまいます。豊かな暮らしに憧れているなら、うつわものの扱いにはだんだん慣れていくでしょう。

 

それに、たとえうつわを割ってしまったとしても、日本や西洋にはナチュラルな材料を使って陶器を美しく直す伝統的な方法があります。直しかたについては、また今度の記事でご紹介します。

 

 

作家ものを買うということ=作家を「育てる」ということ

 

 

 

 

 

 

 

もしも、あなたがお気に入りの作家もののうつわを見つけたら、また同じ作家の作品を買ってみましょう。いろんな作家の作品を集めるのも楽しいですが、ある程度作家もののうつわの購入に慣れてきたら、「推し作家」を持ってみるのがおすすめです。

 

うつわをつくる陶芸やガラス、木工などの工芸作家は、売れなくなってしまえば廃業しなければいけません。一点もののうつわを安く手に入れることも喜びですが、作家もののうつわを買うというのはその作家の将来への「投資」であることも忘れてはいけません。

 

また、作家にはひとりひとり「サイズ感」や色彩感覚など独自のセンスを持っていて、同じ作家の作品であれば同じ雰囲気のものを揃えられます。統一感のあるうつわを一通り揃えることで、より食卓がおしゃれで豊かになるなど、特定の作家の作品を継続して購入することはメリットがたくさんあるのです。

 

ILOILO LIFE STOREでは、みなさんの「推し」になるような魅力的な作家もののうつわやアイテムを厳選しています。今後の入荷もお楽しみにお待ち下さい。

 

Text by: Saori Matsushita 

 

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