日本の伝統を刷新する有田焼《2016/》のモダン・デザイン

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日本伝統の陶芸の中でも、緊張感のある白磁の滑らかな白さと鮮やかな絵付けにより、食卓にパリッとした印象を持たせる有田焼のうつわ。有田焼の発祥は17世紀初期のころ、肥前の地(現在の佐賀県)で朝鮮出身の陶工により窯が開かれたのがはじめとされています。

 

それから4世紀という長い時間がたった今、現代の有田焼の伝統はさらに進化を遂げました。それは、西洋のデザイン思想と日本の職人技を併せ持ったモダンなうつわのグローバルブランド、《ARITA 2016/》の誕生。

 

 

 

この新生・有田焼ブランドである《2016/》は、クリエイティブディレクターの柳原照弘をはじめとし、日本や海外で活躍する14のデザイナーやデザインユニットが加わった15のうつわのラインナップから展開されます。それらの都会的なモダン・デザインは、私たちの生活に新時代の訪れを気付かせるでしょう。

 

ここで、現代の新たなテーブルウェアブランドである《2016/》について、そして毎朝のブレックファストからコーヒーのシーンでも使いたい、柳原照弘のプレートと藤代成貴のマグカップについて迫ります。

 


《2016/ ARITA》とは

 

 

モダン・テーブルウェアブランドの《2016/》は、有田焼の発祥からちょうど400年目の2016年に生まれました。

 

1616年に発祥し現代にも続く有田焼は、天草陶石などの日本で採掘される天然鉱石などを材料とし、佐賀県有田市で作られる焼きもの。

 

日本の伝統的な窯業のうつわの名前を冠する「有田焼」「伊万里焼」などは、その作者などではなく窯のある土地や材料の産地、また技法によって区分けされます。

 

しかし、陶芸材料が世界中において流通が可能になったことにより、近代から作家主体の「現代陶芸」というジャンルが生まれました。日本では、この「現代陶芸家」のうつわと、伝統的な「〇〇焼き」といった日本陶芸が共存しています。

 

そして《2016/》はというと、世界で活躍するインダストリアルデザイナーたちと伝統的な有田焼の職人や窯元、技術を通してつくられる、新たな「伝統」陶芸のかたちなのです。

 

 

 

その《ARITA 2016/》というテーブルウェアブランドが目指しているのは、そのうつわを世界中で使われる日用食器にすること。そのシンプルでモダン、かつスタッキング収納が可能なうつわは都会的、かつ遊び心溢れるデザインで、家庭に豊かさを持たせつつもミニマルな生活を可能にします。

 

日本から始まり、ヨーロッパや北欧のデザイナーが手がける《2016/》のテーブルウェアは、和食はもちろん、洋食や中華など、どんな食事のシーンにも沿うことができるもの。カッチリとしたプロダクトデザインですが、そのなかに柔軟な「妙」を持ち合わせ、現代のライフスタイルに心地よく馴染むでしょう。

 

《2016/》が展開するテーブルウェアのラインナップは、柳原照弘とオランダのデザインスタジオ「ショテルン&バーイングス」がともに手がける、アート色・コレクション性の強い「エディション」シリーズ、そして15人のデザイナーとコラボレーションした、日常使いのための「スタンダード」の両面からなります。

 

スタンダードシリーズは、経済的、かつより使い勝手の考慮された、毎日の生活をスタイリッシュに彩るもの。なかでも、《2016/》のクリエイティブディレクターでもある柳原照弘がデザインしたプレートは、忙しい朝からゆったりとしたディナーのシーンまで、まんべんなく活躍してくれそうです。


 

2016/ Teruhiro Yanagihara PLATE

 

 

《2016/》のスタンダードシリーズは、15名のデザイナーそれぞれの名前を分岐したシリーズとして展開します。デザイナーの柳原照弘が手がける「Teruhiro Yanagihara」のプレートは、《2016/》のプロダクトデザインのなかでもひときわ柔らかい印象を備えたもの。

 

そのプレートの形に関しては、非常にカチッとした印象の緊張感のあるデザインです。しかし、そこに釉薬の味わいを生かした良い意味の「ムラっけ」を持たせることにより、生活に溶け込むゆとりを取り入れました。

 

・Rim Plate 180

【2016/ Teruhiro Yanagihara Rim Plate 180】

 

この〈Rim Plate 180〉は、その名の通り直径18センチのリムプレート。「リム」とはお皿の「ふち」の意味で、こちらは「ふちつきのお皿」ということ。くっきりと角のあるかたちは、その釉薬の色味とあいまって、陰影の美しさが際立ちます。

 

この〈Rim Plate 180〉はリムが深く、焼物はもちろん、煮物やリゾットなど水分のある料理でも活躍するでしょう。リムの高さと角度が絶妙で、小さなナッツや米などの細かなものもスプーンで綺麗にすくい取ることができ、食事のシーンをエレガントにできます。これも、人の手の動きやプロダクトを知り尽くしたデザイナーの実力です。

 

サイズ:直径18 × 高さ1.5cm
カラー: ホワイト / ブルー 
素材:陶磁器
生産地:佐賀県西松浦郡有田町 

 

・Plate 200 

 

【2016/ Teruhiro Yanagihara Plate 200】

 

〈Plate 200〉は、ゆるやかな傾斜の平皿。直径20センチの大きさで、料理をたっぷりとよそうことができます。思わずそこにカレーライスが盛ってあるところを想像してしまうこのプレートは、家庭内で大活躍するでしょう。

 

ほかにもサラダや中華の大皿料理など、どんな料理でもマッチします。または、外で買った惣菜もこのプレートに盛りつければ、プラスチックの容器に入っていたとは考えもつかないくらいお洒落な料理に変身しそうです。

 

ILOILO LIFE STOREで取り扱う〈Rim Plate 180〉と〈Plate 200〉のカラーは白、そして呉須の美しい青色の2色。どちらも和食器、洋食器の両方にお使いいただける色使いです。

 

そして、これらのTeruhiro Yanagiharaの〈PLATE〉シリーズは、スタッキング(積み重ねて)収納が可能。一人暮らしの食器棚も圧迫せず、普段使い、また来客用にも何枚か持っておきたいラインナップです。

 

サイズ:直径20 × 高さ2cm
カラー: ホワイト / ブルー 
素材:陶磁器
生産地:佐賀県西松浦郡有田町 

 

 

デザイナー・柳原照弘「釉薬のマジック」

 

 

 

《2016/》の〈Teruhiro Yanagihara〉シリーズのデザインを手がける柳原照弘は、工芸の街・金沢で幼少期を過ごし、2002年にデザイン会社を設立した人物です。インターナショナルで“ボーダレス”の取り組みをモットーとし、この《ARITA 2016/》のプロジェクトを実現しました。

 

本来、陶磁器のプロダクトにおいて、釉薬の「ムラ」は失敗として破棄されてしまいます。しかし、柳原は自身がデザインするスタンダードシリーズのデザインにおいて、釉薬にあえてランダムなムラを残しています。

 

そうして、製品一つひとつに不規則な要素を加えることで、そのうつわにプロダクトデザイン特有の工業的な冷たさが取り払われ、ささやかな温かみを持たせる事が可能となりました。まさに発想の転換、古き良き日本陶芸の良さが込められたアイテムとなったのです。

 

日本特有の「不完全なものに美が宿る」という思想に基づきデザイン、製作されたテーブルウェアは、伝統の現代の技術が織りなす、次世代のうつわといえるでしょう。

 

  

2016/ Shigeki Fujishiro MUG

 

 

 【2016/ Shigeki Fujishiro Mug】

 

《2016/》のもう1人の日本人デザイナー、藤代茂貴が手がける〈Shigeki Fujishiro〉シリーズは、マット調の釉薬がよりモダンな印象のラインナップ。なかでも、マグカップは直線的かつまろみのあるデザインで、日常使いにぴったりのものです。

 

バランスの美しい、整えられた比率の円筒状のカップに、逆さの二等辺三角形の取っ手のついたこのマグは、どこから見ても完璧なフォルム。出勤前のモーニングコーヒーやオフィスのシーンで際立つ、シャキッとした印象を与えます。

 

 

 

 

〈Shigeki Fujishiro〉シリーズで注目するべきが、その釉薬の色使い。機能的なフォルムを彩る暖かい赤のカラーを中心として揃えられた、北欧カトラリーにも見合うヨーロッパ好みの感触です。

 

この赤は鮮やかですが決して派手すぎず、落ち着いた上品な赤い色味で、意外なほど生活のシーンにしっくりきます。赤、白、グレーのカラーリングとそのシンプルなモダン・デザインのマグは、〈Teruhiro Yanagihara〉の白とブルーのプレートと合わせると、よりお互いのうつわの存在感を引き立てるでしょう。

 

サイズ:直径7cm x 横10.7cm x 高7.8cm
カラー: ホワイト / レッド / グレー
素材:陶磁器
生産地:佐賀県西松浦郡有田町  

 

 

デザイナー・藤城成貴「赤絵」の鮮やかさ

 

 

〈Shigeki Fujishiro〉シリーズをデザインした藤城成貴はドイツデザインの巨塔・バウハウスの意思を組んだ桑沢デザイン研究所の出身。家具メーカー「IDEE」を2005年に退社したのち、自身のデザインスタジオ「shigeki fujishiro design」を立ち上げた、国際的に活躍するデザイナーです。

 

この《2016/》のプロダクトデザインを手がけるに当たって、藤城は有田焼の「赤絵」に注目しました。「赤絵」とは、有田焼が始まってから30年後の1646年に中国から伝来した上絵付けの方法で、開発するのに大変な努力と試行錯誤が必要だったといいます。

 

藤城は、有田焼にとって大切なこの「赤」の色を〈Shigeki Fujishiro〉シリーズの軸としてデザイン開発を行いました。

 

古来より、赤い色は日本でもめでたい「晴れ」の事柄をあらわす特別な色です。また日本の焼き物の釉薬の世界においても特殊で、現代でも発色させることが難しい色でもあります。

 

その赤の釉薬を大胆に使った〈2016/ Shigeki Fujishiro〉のマグは、他のカラーリングである白とグレーもいいですが、ぜひ赤のマグも揃えたいもの。お祝いごとのプレゼントとしても活躍するでしょう。


 

モダンなライフスタイルをより鮮やかに実現する《2016/》のうつわ

 

《2016/》のプロジェクトが生み出す有田焼のうつわのデザインは、どれも上品でかつ生活に馴染むもの。北欧インテリアデザインにも共通する機能美と柔軟な味わい深さで、さまざまな食事、休憩のシーンで活躍するでしょう。

 

これらのうつわは、日本家屋でも西洋建築でも場所を選ばず、「見せる収納」としても美しいもの。

モダンな家づくりにも貢献してくれるほか、コンパクトな収納性が自慢です。一人暮らしや子供のいる家庭でも、どんなライフスタイルも邪魔をせず寄り添ってくれるので、プレゼントにも最適ではないでしょうか。

 

日本の伝統陶芸は、現代の急流に翻弄されつつも、人々の知恵と努力によって継がれてきました。《2016/ ARITA》は、21世紀のこれから先をも見通し、そして日本の伝統を世界へと発信する、有田焼の新たなる挑戦なのです。

 

Text: Matsushita Saori

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