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「用の美に徹する」シンプルが美しい、柳宗理のキッチンツールとカトラリー

「用の美に徹する」シンプルが美しい、柳宗理のキッチンツールとカトラリー

■語り手 松下沙織(まつした さおり)

1990年東京都生まれ。美術作家および陶芸家、フリーライター。2017年より新宿区の陶芸教室「白紙舎」にて講師を務める。2019年武蔵野美術大学博士課程卒業。現在ワシントン州シアトル在住。

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このたび、ILOILO LIFE STOREで、柳宗理(やなぎ そうり)のキッチンツールとカトラリーの取り扱いがはじまりました。

 

柳宗理といえば、その父であり民藝運動の祖である柳宗悦(やなぎ むねよし)が提唱した「用の美」という思想を受け継いだ、シンプルな美しさをもち、かつ機能性を備えたデザイン。

 

今回は、日本製の「道具」として大変優れたツールであり、数多くの賞を受賞している柳宗理デザインのアイテムのなかで、ILOILO LIFE STOREで取り扱うものたちの一部をご紹介していきます。

 

ただしそのまえに、柳宗理のデザインを語るに欠かせない「用の美」という思想についておさらいしてみましょう。 

「用の美」とは

柳宗理 ステンレスケトル つや消し仕上げ

「用の美」という言葉は、大正15年(1926)ごろにはじまった「民藝運動」に由来する言葉。職人的な日本の美の世界に西洋的な「アート」の思想が導入されてから、目を向けられなかった無名の作者による手仕事の美しさをあらためて評価する思想です。

 

その「用の美」という、ひたむきに生きる人びとの生活をたたえる尊い言葉を生み出したのが、柳宗理の父である柳宗悦という人物。華美な装飾や高級品、流行している西洋的な美意識よりも、使い手にとって必要なもの、ことに対する造形美に意識を向けました。

 

「機能美」とも近しい言葉のようですが、「用の美」はより民俗学的な見かたを含めます。家庭や職人に受け継がれてきた手仕事のシンプルな造形美、使い手の心地を考えて作り出され、壊れても捨てずに何度も直して使い続けられる道具に関する言葉です。

 

今の日本のアートやデザインの世界はなお西洋に向かってミーハーな意識が目立ち、あるいは「クールジャパン」を目指すあまりかえって虚しさを感じることもあります。しかし、すべての人に、世界にとってやさしく、素朴な美しさをもつ民藝の道具を美術として評価するうごきは、日本にとって大変誇らしい歴史です。私もまた日本で生まれた1人の美術作家として、いまいちど日本の美術史に立ち戻り、清貧なものづくりをかえりみようと心に留めています。

 

民藝運動は日本から世界に羽ばたいて、今でも尊敬を集める美術・工芸の歴史。そんな思想を受け継いだ柳宗理のデザインだからこその、シンプルで使いやすく美しい家庭の道具について、紹介していきましょう。

 

安心感のある形がうれしい、柳宗理のキッチンナイフ(包丁)

柳宗理 キッチンナイフ 18cm

柳宗理がデザインしたキッチンナイフは、普通の包丁とは一味違います。

 

まずは、その素材。ハンドルまでステンレス製の包丁は巷でよく見かけますが、スタイリッシュな見た目に洗いやすく清潔に保てるので人気がありますよね。ただ、柳宗理のキッチンナイフは、硬く刃こぼれしにくい特殊ステンレス鋼を、しなやかなクロームステンレスでサンドイッチしているため、硬さとしなやかさを併せ持ち、より頑丈で長く使い続けられる作りになっています。

 

そして、この刃先が大きくカーブしたデザインも特徴的。力をかけずにスルッと食材を切ることができる曲線のため、より切れ味が鋭く感じるでしょう。手元の刃はまっすぐですから、大根の桂むきや皮むきもスッと楽に済ませられます。

 

また、包丁は長く使い続け、研いでいくほど刃先が尖って凶悪な形となっていってしまうのですが、柳宗理デザインの包丁はちょうどよい丸みがあるため、大きく形を変えず、やさしいデザインを保ったまま使い続けることができるのです。

 

手入れをすれば10年以上使える、柳宗理の鉄フライパン

柳宗理 鉄フライパン 25cm鉄フライパン18cm

柳宗理 キッチンツール ターナー

柳宗理デザインの道具は、長年使い続けられる素晴らしいものの数々です。なかでも、鉄フライパンは愛用者が続出する評判のキッチンツール。

 

普通の鉄フライパンも手入れをすれば長持ちしますが、テフロンやマーブルコートのフライパンを使い慣れている人にとって、単純な鉄フライパンはサビないように使うためにはコツがいり、お手入れをする手間がかかるくせものでもあります。

 

しかし、柳宗理の鉄フライパンは、特殊コートのフライパンと鉄フライパンの両方の長所を併せ持つ、いわば「最強のフライパン」といえるもの。

 

鉄フライパンのいいところは、強火で余熱ができるところ。テフロンなどのコートフライパンは強火で空焚きするとコートが痛んでしまうのであまり強い火力では使えませんが、柳宗理の鉄フライパンは煙が出るまで余熱ができ、少しの油でもくっつかず、特に肉料理を大変美味しく調理することができます。

 

特殊コートのフライパンは、なにより焦げ付きにくくケアが簡単なところが長所。柳宗理の鉄フライパンは、鉄フライパンに「窒化加工」「ダブルファイバー加工」という、サビと食材のくっつきを防ぐ特殊加工が施されているため、錆びない、焦げない、くっつかないのメリットづくしのフライパンなのです。

 

柳宗理の鉄フライパンの愛用者のなかには、10年近く使い続けている人も多く、修理や交換のアフターサービスも充実しています。柳宗理の鉄フライパンがあれば、もう定期的にフライパンを買い換える必要はないでしょう。

 

柳宗理 ステンレス片手鍋22cm つや消し仕上げ

柳宗理 キッチンツール レードル

また、柳宗理の鉄フライパンや片手鍋は、左右に湾曲していて、料理がよそいやすいのも特徴。蓋とセットで湯切りや蒸気を逃すのも簡単。それぞれ同じ柳宗理デザインのターナーやレードルがフィットする造形になっているので、キッチンのツールを柳宗理で揃えると、より料理がスムーズに、気持ちよく進めることができます。

 

人の手に優しく寄り添う、柳宗理のカトラリーシリーズ

 

柳宗理デザインのカトラリーは、日常使いで実力の光る、シンプルで美しい食事のための道具です。

 

ナイフ、フォーク、スプーンともに、人の手のかたちや、食事の動きを考慮して考え抜かれたデザインで、全体的に丸みを帯びた印象も、食卓にやさしいイメージを添えるでしょう。テーブルシリーズは普段の食事にとても使いやすく、またデザートシリーズはスイーツなどのデザートを頂く以外に、子供用のカトラリーとしても活躍します。

柳宗理 ステンレスカトラリー テーブルシリーズ

柳宗理 ステンレスカトラリー デザートシリーズ

ステンレスシリーズは、デザイナーアイテムとしてはそれほど価格も高くなく、誰もが手に入れやすいのも魅力。自宅で使うスタンダードなカトラリーとして、一揃え持っておきたいアイテムたちです。

黒柄カトラリーシリーズはステンレスと木製のハンドルのシームレスなつなぎ目が心地よい、特別なカトラリー。来客用にも、自分用にも欲しくなる美しい道具。ポルトガルのカトラリーブランド、Cutipolとも似た雰囲気で、北欧食器にもぴったりのシンプルなデザインが長年の人気を誇っています。

 

毎日自分や大切な家族の口元に運ばれるカトラリーですから、良いものを選びたいと思うのはとてもやさしい気遣いです。柳宗理がデザインした、日本が誇る美しい道具を、自分にも家族にもわけてあげてはいかがでしょうか。

 

「暮らし」を真摯に考える

 本当に美しいもの、こと、とはなんだろう。と考えることがあります。

 

流行りものを作り出すのは案外簡単なことです。経済や需要のデータを考慮し、SNSで「映える」アイテムは巷に溢れかえっていますが、それだけアイテムが多ければ破棄される素材も増えていくのが現状。生産がはたして「正しい」行いなのかという問題意識は、クリエイターにとっては必要不可欠な意識です。

 

たとえば、たくさんの「イイネ」をもらうより、大好きなフォロワーが1人だけ増えるほうが嬉しく感じるようなことかもしれません。流行りのアイテムをたくさん手に入れるよりも、自分の生活に無理なく寄り添う、本当に美しい道具をひとつ持って、手入れをしながら使い続けるのが本来の「ていねいな暮らし」ですよね。

 

その「美しい」には、ひとすくいの正義や、他人の立場や生活を思いやる心が含まれるのではないでしょうか。そして、柳宗理のデザインには、その「本当に美しい」という理想が詰まっている、そんな道具作りに感じられます。だから、柳宗理のデザインは愛され続けるのかもしれません。

 

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